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無事に赤ちゃんを産んだのに、予想以上の痛みに「これは普通なの?」と不安になっていませんか?
産後に起こる後陣痛(こうじんつう)は、出産を終えた子宮が元の大きさに戻ろうとする際に生じる痛みです。出産前にはほとんど知らなかったという方も多く、「陣痛よりつらい」と感じる方もいるほどです。
この記事では、後陣痛のピークがいつ訪れるのか、どのくらいの期間続くのか、そして今すぐ実践できる痛みの和らげ方まで、助産師の視点からわかりやすく解説します。「この痛みにはゴールがある」と知るだけで、気持ちがずいぶん楽になるはずです。

後陣痛のピーク時期と痛みが続く期間
出産当日後半から翌日のピーク
後陣痛の痛みが最も強くなるのは、出産当日の後半から産後1〜2日目にかけてです。特に産後24〜48時間は子宮の収縮が活発なため、痛みのピークを迎える方がほとんどです。
痛みの感じ方は人によって異なりますが、下腹部が強く締め付けられるような感覚、あるいは生理痛を数倍にしたような痛みとよく表現されます。授乳をするたびに痛みが増すと感じる方も多く、「なぜ授乳中にこんなに痛くなるの?」と戸惑うことも少なくありません(これについては後ほど詳しく説明します)。
入院中の産後1〜2日目は、痛みのピークにあたるため、無理をせず休養を最優先にしましょう。
産後3日から5日程度の継続期間
後陣痛は、産後3〜5日を目安に徐々に和らいでいくのが一般的です。多くの場合、退院するころには痛みがかなり軽減しています。
ただし、授乳を続けることで子宮収縮が促されるため、授乳のたびに軽い痛みを感じる期間が産後1〜2週間ほど続く場合もあります。これは回復が順調に進んでいるサインなので、焦らず見守りましょう。
後陣痛が起こる原因と子宮収縮の仕組み
子宮を元の大きさに戻す子宮復古
妊娠中、赤ちゃんを育てるために大きく膨らんだ子宮は、出産直後には約1kgもの重さがあります。これが産後6〜8週間かけて妊娠前の大きさ(約60〜100g)へと戻っていきます。この過程を子宮復古(しきゅうふっこ)といいます。
子宮復古が進む際、子宮の筋肉が繰り返し収縮します。この収縮こそが後陣痛の正体です。収縮は子宮内の悪露(おろ)を排出したり、出血を止めたりする大切な働きも担っています。つまり後陣痛は、ママの体が産後の回復に向けてしっかり働いている証拠なのです。
授乳によるオキシトシン分泌の影響
「授乳するたびに後陣痛が強くなる」と感じる方は多いですが、これにはきちんとした理由があります。
赤ちゃんが乳首を吸うと、脳からオキシトシンというホルモンが分泌されます。このオキシトシンは「愛情ホルモン」とも呼ばれ、母乳の分泌を促すと同時に、子宮の収縮を強める働きもあります。そのため、授乳中に後陣痛が増強するのは体の正常な反応です。
オキシトシンによる子宮収縮は、子宮復古を早め、産後の回復を助ける効果があります。授乳中の痛みはつらいですが、赤ちゃんとの授乳が回復を後押ししていると考えると、少し前向きに感じられるかもしれません。
経産婦や多胎妊娠で痛みが強くなる傾向
後陣痛の強さには個人差がありますが、経産婦(2人目以降の出産)の方は初産婦よりも後陣痛が強い傾向があります。
これは、出産を経験した子宮は一度大きく伸びた筋肉を持つため、収縮する際の力も強くなるためです。「1人目のときはこんなに痛くなかったのに…」と驚く経産婦の方は多く、助産師の間でもよく知られた事実です。
また、双子や三つ子などの多胎妊娠の場合も、子宮がより大きく伸びた分だけ収縮も強くなるため、後陣痛が強くなりやすい傾向があります。
「経産婦だから痛くて当然」と自分を追い込まず、つらいときは遠慮なく助産師や医師に相談しましょう。
後陣痛の痛みを和らげるセルフケア
お腹を温める温熱療法
子宮収縮による痛みには、お腹を温めることが効果的です。温めると筋肉の緊張がほぐれ、血流が改善されることで痛みが和らぎやすくなります。
具体的な方法としては、以下のような方法が挙げられます。
- 使い捨てカイロをタオルに包み、下腹部にあてる
- 湯たんぽを低温やけどに注意しながら使用する
- 温かいお湯で絞ったタオルを下腹部に置く
ただし、産後間もない時期は悪露の排出が続いているため、入浴(湯船に浸かること)は産後1ヶ月健診で許可が出るまで控えてください。シャワーは通常、産後数日から可能です。
子宮への圧迫を避ける楽な姿勢
後陣痛がつらいとき、体の姿勢を工夫するだけで痛みが和らぐことがあります。
横向きに寝る姿勢(シムス位)は、子宮への圧迫が少なく、産後の休息に適した楽な姿勢です。抱き枕やバスタオルを丸めたものを膝の間に挟むと、さらに安定します。
また、授乳中に後陣痛が強くなる場合は、授乳クッションを使って赤ちゃんをしっかり支え、お腹に余計な力がかからないようにすると痛みが軽減しやすくなります。深呼吸をゆっくり繰り返すことで、体の緊張をほぐすことも助けになります。
鎮痛剤の使用と医師への相談目安
授乳中でも服用可能なカロナールやロキソニン
「痛みがひどくても、授乳中だから薬を飲んではいけないのでは?」と我慢している方も多いですが、後陣痛に対して鎮痛剤を使用することは医療機関でも広く行われており、我慢し続ける必要はありません。
産後に処方されることが多い鎮痛剤には、カロナール(アセトアミノフェン)とロキソニン(ロキソプロフェン)があります。どちらも母乳への移行量が非常に少なく、授乳中でも使用できるとされています。ただし、自己判断での服用は避け、必ず担当の助産師や医師に相談してから使用するようにしましょう。
入院中は遠慮なく「痛み止めをください」と申し出てください。痛みを我慢することで休めなくなり、産後の回復が遅れてしまうことの方が問題です。
受診が必要な異常な痛みや出血
後陣痛は産後の正常な経過ですが、以下のような症状がある場合は異常のサインである可能性があります。迷わず担当医や助産師に相談してください。
- 産後5日を過ぎても痛みが強くなっている、または全く改善しない
- 38度以上の発熱が続いている(子宮内感染の可能性)
- 悪露の量が急に増えた、または鮮血が続く
- 悪露から強い悪臭がする
- お腹を触ると強い圧痛がある
これらは子宮内感染や産後出血など、医療的な対応が必要な状態のサインである場合があります。「大げさかな」と思わず、気になる症状があれば必ず医療スタッフに伝えましょう。

まとめ
後陣痛のピークは産後24〜48時間ごろで、産後3〜5日を目安に落ち着いてくるのが一般的です。子宮が元の大きさに戻ろうとする子宮復古の過程であり、授乳中にオキシトシンが分泌されることで痛みが強くなることもあります。つらい場合は我慢せず、お腹を温める・楽な姿勢をとる・鎮痛剤を活用するなどのケアを行いましょう。異常なサインがある場合は、迷わず医師や助産師に相談してください。